【設備投資】法人税の税額控除を受けられる経営力向上計画とは?
経営力向上計画とは
日本経済は、少子高齢化による労働力不足やグローバル競争の激化といった構造的な課題に直面しており、中小企業の持続的な成長が不可欠です。そのためには、生産性の向上と経営力の強化が急務であり、現状の打破と未来への展望を切り開く必要があります。
そこで、国は中小企業が抱える経営課題を克服し、成長戦略を描くための支援策として、経営力向上計画を推進しています。この計画は、企業が自社の現状を分析し、目標とする姿を描き、その実現に向けた具体的なアクションプランを策定するプロセスを支援するものです。設備投資、人材育成、業務効率化、新たな事業展開など、企業の状況に合わせた様々な取り組みが計画に盛り込まれ、実行されます。
計画が認定されると、税制上の優遇措置や金融支援などが受けられ、企業の成長を強力に後押しします。補助金・助成金との併用も可能で、より効果的な投資を実現することができます。中小企業が直面する課題を克服し、持続的な成長を実現するための羅針盤、それが経営力向上計画です。
経営力向上計画認定のメリット
経営力向上計画の認定を受けるメリットは、単なる税制優遇や金融支援にとどまらず、中小企業の成長戦略を多角的に支援する多岐にわたるメリットがあります。そのメリットを詳しく説明します。
1. 税制優遇措置
法人税の即時償却または税額控除: 計画に基づき導入した一定の設備について、法人税の計算において、取得価額を全額その年度の費用として計上できる即時償却、または取得価額の一定割合(通常10%、中小企業者等は7%)を法人税額から控除できる税額控除を選択できます。これにより、設備投資を行った年度の法人税負担を大幅に軽減し、キャッシュフローを改善できます。
固定資産税の軽減(先端設備等導入計画との併用): 経営力向上計画と並行して、地方自治体による「先端設備等導入計画」の認定を受けることで、新たに導入した設備に係る固定資産税が一定期間減免されます。これにより、設備投資にかかるトータルコストを抑制し、投資回収期間を短縮できます。
2. 金融支援
信用保証の優遇: 計画認定を受けた中小企業は、信用保証協会の信用保証枠の拡大や保証料率の引き下げなどの優遇措置を受けることができます。これにより、資金調達が容易になり、新たな事業展開や設備投資に必要な資金を確保しやすくなります。
日本政策金融公庫等の低利融資: 計画認定を受けた中小企業は、日本政策金融公庫等の政府系金融機関から、通常の融資よりも低金利で融資を受けることができます。これにより、資金調達コストを抑え、事業の収益性を向上させることができます。
3. 補助金・助成金の加点措置
採択率の向上: 中小企業庁が実施する各種補助金・助成金(小規模事業者持続化補助金など)の申請において、経営力向上計画の認定を受けていることが、審査における加点要素となります。これにより、補助金・助成金の採択率が向上し、設備投資や研究開発などの事業に必要な資金を確保しやすくなります。
補助率の上乗せ: 一部の補助金・助成金では、経営力向上計画の認定を受けている中小企業に対して、補助率が上乗せされる場合があります。これにより、自己負担額を減らし、より多くの補助金を受け取ることができます。
4. 経営改善・事業承継の促進
事業承継税制の優遇: 後継者が経営承継円滑化法に基づく経営承継計画と併せて経営力向上計画を策定し、認定を受けた場合、事業承継税制における相続税・贈与税の納税猶予・免除の特例の適用を受けることができます。これにより、事業承継に伴う税負担を軽減し、円滑な事業承継を支援します。
M&Aにおける支援: 経営力向上計画に基づき、M&A(合併・買収)を行う場合、専門家による助言や仲介などの支援を受けることができます。これにより、M&Aの成功率を高め、事業規模の拡大や経営資源の効率化を図ることができます。
5. 企業イメージの向上
対外的な信用力向上: 経営力向上計画の認定を受けていることは、企業が経営改善や成長戦略に真剣に取り組んでいる証となります。これにより、取引先や金融機関からの信用力が高まり、円滑な事業運営に繋がります。
従業員のモチベーション向上: 経営力向上計画を通じて、従業員の能力開発や労働環境の改善に取り組むことで、従業員のモチベーション向上や定着率の向上に繋がります。
これらのメリットを総合的に活用することで、中小企業は持続的な成長を実現し、競争力を高めることができます。
経営力向上計画認定の申請類型や対象設備は
経営力向上計画の認定を受けるためには、計画の中で取り組む内容に応じて申請類型を選択する必要があります。また、税制優遇措置の対象となる設備には要件が定められています。以下に、申請類型と対象設備について詳細に説明します。
1. 申請類型(経営力向上計画の種類)
経営力向上計画には、以下の4つの申請類型があります。自社の経営課題や目指す方向性に応じて、適切な類型を選択することが重要です。
A類型:生産性向上設備等
目的: 生産効率、エネルギー効率、製品の品質などを向上させるための設備投資を行う場合に選択します。既存設備の更新や最新設備の導入を通じて、生産性の向上を目指します。
要件:
一定期間内に販売されたモデルであること: 中古設備も対象となり得ますが、あまりにも古いモデルは認められない場合があります。
経営力向上に関する指標の改善: 導入する設備によって、生産効率、エネルギー効率、精度などの指標が、旧モデルと比較して年平均1%以上向上することが求められます。性能向上の根拠を示す書類(カタログ、仕様書など)を提出する必要があります。
B類型:収益力強化設備等
目的: 収益性の向上に直接貢献する設備投資を行う場合に選択します。新たなビジネスモデルの導入や、顧客獲得、販売促進などを目的とした設備投資が含まれます。
要件:
投資利益率の向上: 設備投資によって、年平均5%以上の投資利益率を達成できることが見込まれる必要があります。投資利益率の算出根拠を明確に示す事業計画を作成する必要があります。
KPIの設定: 収益力向上を測るためのKPI(重要業績評価指標)を設定し、その達成状況を定期的にモニタリングする必要があります。
C類型:デジタル化設備等
目的: デジタル技術の導入による業務効率化、自動化、遠隔操作などを実現するための設備投資を行う場合に選択します。中小企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を促進します。
要件:
事業プロセスのデジタル化: 以下のいずれかの要素を含む必要があります。
遠隔操作: 設備の遠隔操作やモニタリングを可能にする機能。
可視化: データの収集・分析・可視化を行い、経営判断や業務改善に役立てる機能。
自動制御化: プロセスを自動化し、人的ミスを削減したり、効率的な運用を可能にする機能。
セキュリティ対策: デジタル化に伴う情報セキュリティリスクへの対策を講じる必要があります。
D類型:経営資源集約化設備等
目的: M&A(合併・買収)、事業譲渡、会社分割などの経営資源の集約化に伴い、新たに設備を取得・制作・建設する場合に選択します。事業再編を促進し、経営資源の効率的な活用を支援します。
要件:
経営力向上計画との連動: 経営力向上計画において、事業再編の目的、内容、効果などを明確に記載する必要があります。
事業承継等との連携: 事業承継・引継ぎ補助金など、他の支援策との連携も検討する必要があります。
2. 対象設備
税制優遇措置の対象となる設備は、以下の要件を満たす必要があります。
共通要件:
新品であること: 基本的に新品の設備が対象となります。中古設備は、一定の条件を満たす場合に限り認められる場合があります。
事業の用に供すること: 自社の事業活動において、実際に使用される設備であることが必要です。
設備の種類と最低取得価額:
機械装置: 160万円以上
ソフトウェア: 70万円以上
器具備品: 30万円以上
工具: 30万円以上
建物附属設備: 60万円以上
証明書類:
各設備について、工業会等が発行する証明書や、経済産業局の確認書などが必要となる場合があります。これらの証明書は、設備が経営力向上に資するものであることを客観的に示すものです。
注意点:
事前に計画を策定・認定を受けること: 税制優遇措置を受けるためには、設備を取得する前に経営力向上計画を策定し、国の認定を受ける必要があります。
要件の確認: 上記は一般的な要件であり、詳細な要件は経済産業省のウェブサイト等で確認する必要があります。
経営力向上計画は、中小企業の成長を支援する強力な制度です。自社の状況に合わせて最適な類型を選択し、要件を満たす設備投資を行うことで、最大限の効果を得ることができます。
経営力向上計画認定手続きのサポート
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